飼い猫が10歳を超えら終活を考えよう【医療・葬儀・埋葬】
現在、飼い猫の寿命は約16歳です。中には20歳以上のご長寿猫も多くいます。以前に比べると食べ物や獣医療の発達で、ずいぶんと長生きするようになりました。
とはいえ、どんな生き物でもいつかは必ずお別れがやってきます。「うちはまだまだ若いから大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、猫の寿命もそれぞれです。
お別れのときになって「もっとこうしておけばよかった」と後悔がないように、猫も10歳を超えたら終活を考えてみてください。そこで今回はいつかくる猫とのお別れの前に、考えておきたいことをご紹介いたします。
猫の終活で考えておきたいこと
猫のための終活とは、愛猫との別れを意識した「介護」「最後の過ごし方」「見送り方」を生前に決めておくことです。きちんと終活をしておくことで、いざというときに慌てることもありません。多くの後悔を残さないためにも、猫が元気なうちから終活を始めてみてください。
1.終末期医療を考える
猫も年齢と共に体が思うように動かなくなり、病気を患うことも珍しくはありません。猫が10歳を迎えたら、終末期医療をどこまでおこなうかも考えておきましょう。
これは飼い主が、「もっと治療をしてあげればよかった」あるいは「痛い思いまでして延命をしなければよかった」と後悔が残らないようにするためでもあるのです。
できる限り延命をする、痛みなどを取る緩和ケアをおこなう、終末期は自然に愛猫の生命力に任せるなど、あらかじめ家族で相談しておくことをおすすめします。
2.葬儀の方法はどうするか
愛猫が亡くなった後のことも考えておいてください。以前はペットが亡くなると、保健所に連絡を入れて引き取りに来てもらうことが一般的でしたが、今ではペット専門の葬儀会社もあります。
ペットの葬儀は「自治体に依頼する」「ペット専門の葬儀会社に依頼する」「自宅でお別れをする」の大きく分けて3つです。どのような形で愛猫とお別れするか、きちんと考えておくといざというときに慌てることもありません。
3.納骨や埋葬の方法はどうするか
愛猫の納骨や埋葬方法も事前にどのようにしたいか決めておくと、後悔しないお別れをすることができます。
火葬してペット霊園などに埋葬するにも、個別にお墓に入れるのか共同墓地にするのか、あるいは自分の敷地に埋葬するのか、お骨は家に置いておくのかなどです。
それぞれにメリット・デメリットがあり、納骨や埋葬方法で料金も大きく異なります。愛猫が亡くなってからペットの葬儀会社をあわてて決めてしまうと、トラブルの原因にもなることも多いため、事前にどのようにペットとお別れをするのかを決めておくのが理想です。
18年の生涯を閉じた愛猫の終活
以前実家で飼っていた猫は生後数日で捨てられていた猫でした。気性が激しく、家族以外には懐くことはない愛猫でしたが、やはり10歳を過ぎた頃から少しずつ老化が見られるようになったのです。
冷蔵庫などの高い場所に上がることができなくなってきたものの、階段などはスムーズに上り下りをしていました。今まで大病もなく元気で過ごしていた我が家の猫ですが、やはり寝ている時間が長くなる姿を見ていると「おばあちゃんになったな」と認めざるを得ません。
そこで我が家では猫が生きているうちから、亡くなったらどのようにお別れをするのかは事前に決めていました。
- 老後に病気になったら自然に任せる
- 葬儀は以前お願いしたペットの葬儀会社
- 1年は家にお骨を置いて、その後お寺のペット共同墓地に埋葬
我が家の猫は気性が激しく、病院に連れて行くのも大変な猫だったのです。そのため、入院して延命治療までは猫にとってもかわいそうだろうと、緩和治療はしても延命治療はしないで自然に任せようと思っていました。
さらに葬儀は、以前飼っていた犬が亡くなったときにお世話になったペットの葬儀会社にお願いするように決めていたのです。きちんと自宅まで引き取りに来てくれて、小さいながらもお葬式もしてもらえます。
そしてしばらくお骨になってからも自宅で過ごして、寂しくないようにあえて共同墓地に埋葬することは母からの希望でした。
事前に愛猫とのお別れを意識することで、死期が近づいたときにきちんと飼い主も向き合える時間が持てるようになります。幸いにも我が家の猫は老衰で息を引き取りました。
私はすでに家を出ていたため立ち会うことはできませんでしたが、終活をしていたことで家族も納得したお別れができたのは確かです。しかしきちんと終活をしていても、その後に母は軽いペットロスになりました。
猫の終活におすすめの本ご紹介
猫は人間よりも速いスピードで人生を駆け抜けていきます。愛猫の老後、お別れは必ず訪れるものです。そこで、猫の終活におすすめの本を2冊ご紹介します。
『猫とわたしの終活手帳』
- 著:服部 幸(東京猫医療センター院長)
- イラスト:しばたはるか
- 出版社:トランスワールドジャパン (2016/7/2)
この本は帯にも書かれていますが、猫のためのエンディングノートです。12歳からの生活や病気、暮らしの心得、最後のお別れまで飼い主がどのように愛猫と向き合うべきかが書かれているのです。
さらにこの本の後ろには「書き込もう猫とわたしの約束ノート」があり、最期に過ごすときの猫との約束事を書けたり、いざというきの連絡先を記入することができます。
そしてこの本、マニュアル本と思って読んではいけません。読んでいると、とても泣けてきます。
まず本を開いて目に飛び込んでくる『12歳のきみへ』の文章。ここで胸がギュっと締め付けられました。
さらに最後の方に書かれている『猫からの最期の贈りもの』は愛猫との生活を思い出さずにはいられない文章になっています。これから猫の終活をしようと思っている人だけでなく、すでに愛猫を見送った人にもおすすめの1冊です。
『愛猫の看取りマニュアル』
- 監修:南 直秀(東京動物医療センター副委員長)
- 出版社:秀和システム
この本は猫のシニア期(10歳頃)ごろから書かれている本です。老猫になって気を付けたい病気や生活をはじめ、猫の介護についても詳しく書かれています。
猫も以前より長生きになることで、老後に飼い主の手助けが必要となるのです。介護が必要となったときにどのように介護をすればよいか、自宅以外での介護を考える場合など参考になる項目が盛り込まれています。
さらに、年を取るのは猫だけでなく人間も同じ。もし飼い主が高齢で、猫よりも先に亡くなった場合はどのような準備をしておくのが良いかも書かれています。こちらの本は、老猫のための参考書として読んでおくとよいかもしれません。
まとめ
猫を飼っている人の半数以上が、今までに愛猫を看取った経験があると言われています。しかし愛猫とのお別れの準備を事前におこなっていても、「もっとこうしておけばよかった」という後悔は少なからずあるものです。
その後悔を少なくするためにも、10歳を過ぎたら猫の終活を始めてみてください。もちろん終活は医療・葬儀・埋葬だけではありませんが、まずはこれら3つをきちんと考えるようにしましょう。