メス猫の避妊手術が費用や手順がよくわかる@メリット・デメリットも解説
猫は繁殖力の強い動物です。1匹のメス猫から生まれる子猫は、1回に約4匹~8匹、1年で2回~4回の出産をすることが可能なことを知っていますか?
もちろん野良猫の場合、環境も悪いため産んだ子猫すべてが成長するとは限りませんが、1匹のメス猫が1年後には20匹以上の猫を生む計算になるのです。
中には「うちは飼い猫で外に出さないから大丈夫」と思っている飼い主の方もいるかもしれませんが、飼い猫であっても油断は禁物。不幸な猫を減らすため、飼い猫を病気から守るため、長生きをしてもらうためにも、メス猫を迎えたら避妊手術を考えてみてください。
避妊手術のメリット・デメリット
メス猫の避妊手術は、不幸な猫を増やさないだけでなく、飼い主や飼い猫にとってもメリットがあります。もちろんデメリットもあるので、きちんと理解したうえで避妊手術を受けるようにしてください。
■メリット
- 望まない妊娠を防ぐことができる
- 乳がん、子宮内膜炎、子宮蓄膿症など病気の発生率を下げる
- 卵巣におきる疾患を予防できる
- 発情期のストレスを軽減できる
- 寿命が長くなる
■デメリット
- 子孫を残せない
- 太りやすくなる
- 手術と麻酔のリスクがある
避妊手術を受けるタイミング
メス猫は生後6か月~12か月頃には発情期を迎え、妊娠が可能になります。発情期を迎えた猫は、オス猫を呼ぶため大きな声で鳴く、頻繁に身体を人や物に擦りつける、腰の辺りを触るとお尻を持ち上げるなどの行動をします。
中でも、オス猫を呼ぶ声はいつもと違って、高い声で「アオーン、アオーン」と鳴き続けるため、鳴き声に悩む飼い主も少なくはありません。
そのため、発情期を迎える6か月~12か月の頃に避妊手術を受けるのが理想とされています。ただし野良猫を保護した場合は、健康面をきちんと検査してから早めに手術を受けるようにしてあげてください。
また麻酔や体力のリスクを考えると、7歳までに避妊手術を受けるのが良いと言われています。避妊手術を受けるタイミングで迷ったら、かかりつけの病院で相談してみると良いでしょう。
避妊手術までの手順
猫の避妊手術では卵巣と子宮の摘出をおこなうため、オス猫の去勢手術より時間と費用がかかります。生後6か月頃から検討していると、発情期を迎えてしまう場合もあるので、メス猫を迎えたら早めに避妊手術をいつ受けるか考えておかなければいけません。
1.かかりつけの病院に予約を入れる
まずはどの病院で手術を受けるかを決めて、予約を入れなければなりません。人気の病院は数か月先まで予約がいっぱいということもあるので、早めに病院は選んでおいてください。
かかりつけの病院がすでにある場合は、事前に避妊手術の時期などを相談しておくと予約もスムーズに行うことができます。遅くても手術を受けさせたい1か月前には、一度病院へ連絡を入れておきましょう。
2.事前の健康チェックを病院で行う
病院によっては、事前に健康チェックや検査を行うことがあります。またワクチンの接種履歴を尋ねられることもあるため、答えられるように準備してください。
予防接種が終わっていない場合は、事前に接種をしておきましょう。また病院によっては手術当日に健康チェックを行うこともあります。予防接種や健康面で分からないことは、事前に先生に相談しておくと安心です。
3.手術前日~当日
通常は手術12~18時間前から絶食となります。これは手術中に未消化物を吐いて、気管や肺の中に入り、窒息や誤嚥性肺炎を起こす恐れを防ぐためです。手術日当日は予約した時間に猫を病院に連れて行きます。
病院によっても異なりますが、多くの場合そのまま猫を預けて飼い主は帰宅となります。手術時間は約40分~50分です。
4.術後~退院
手術後、1日~2日の入院をして問題が無ければ退院となります。ただし当日に退院ということもあるので、事前にきちんと病院で確認をしておきましょう。
手術後は消化管機能が正常に戻るまで時間がかかるため、半日程度ご飯は絶食となります。また後日(1週間~10日後)、抜糸をするために通院する必要があります。
術後の注意点
手術が終わっても、しばらくは体調の変化に気を付けるようにしましょう。猫はお腹の傷口が気になり舐めてしまいます。多少舐めるのは問題ありませんが、傷口を舐め続ける、糸を引っ張るという場合は、腹巻やエリザベスカラーも検討してみてください。
■術後控える項目
- 術後1週間は激しい運動を避ける
- 最低数日間は屋外に出さないようにする
- シャンプーは抜糸から1週間ぐらい経過するまでは控える
手術後1週間~10日で抜糸となります。病院で術後の経過を見てもらい、問題が無ければOK。数週間すればお腹周りの毛も生えてくるので、手術の跡も分からなくなります。
避妊手術の費用はどれくらいかかるのか?
避妊手術代に決まった金額協定はなく、病院によって異なりますが、一般的に15,000円~30,000円位です。これは手術費の値段なので、これ以外に検査代、麻酔代、薬代、入院代などが追加されます。ただし、病院によっては全て込みでの値段を提示している病院もあれば、手術のみの金額しか提示していないところといろいろです。詳しくは病院に問い合わせをしてみてください。
ちなみに以前飼っていた猫の避妊手術代は、全部で約30,000円程度かかりました。オス猫の去勢手術と比べると、5,000円~10,000円くらいは高いと思っておいてください。
また、地域によっては避妊手術代に助成金が出ることがあります。詳しくは病院、または市のホームページで確認をしてみてください。
【参考記事】猫の去勢時期と手順@費用の相場やメリット・デメリットも解説
まとめ
室内飼いの猫は多頭飼いをしない限り、オス猫と出会う機会もが無いかもしれません。しかし油断は禁物です。発情期に見られる特徴的な鳴き方でオス猫を呼ぶこともあり、いつもはおとなしい子も、このときばかりは外に興味を持つことも珍しくありません。完全室内飼いであっても、念のために避妊手術は受けておくと安心です。
もちろん子猫が増えるだけでなく、「メス猫特有の病気の予防」「発情期のストレスも減る」などのメリットも挙げられます。「外に出る可能性がある」「これ以上猫を飼うことはできない」「多頭飼いをしている」場合は、必ず避妊手術を受けるようにしてください。
1匹で完全室内飼いの場合は、メリット・デメリットを考慮して手術をするかどうか決めてみてくださいね。