カーミングシグナルで猫の気持ちがわかる@読み取り方を紹介
「カーミングシグナル」という言葉をご存知でしょうか?
カーミングシグナルを直訳すると「calming」“落ち着かせる”と「signal」“信号”となり、非音声的言語と訳されていて、特に犬において使われることが多いようです。
犬が集団行動をおくる上で声ではなく、行動やしぐさによって、相手、もしくは自身の気持ちを落ち着かせるボディーランゲージのようなものと考えてよいでしょう。
例えば、自分より強そうな相手に対して戦う意思が無いことを示すとき、犬はしっぽをお腹側にしまいます。しっぽをお腹側にしまう行動が、「あなたに対して敵意はありません」という合図になるのです。
このことは犬全体の共通認識で、しっぽを巻いた相手に対しては攻撃をしかけないという暗黙のルールのようなものがあるのです。
見知らぬわんこと出会ったとき、突然あくびをされて不思議に思ったことはありませんか?眠たい状況でもなさそうなのになぜ「あくび」?実はこの行動もカーミングシグナルなのです。
見知らぬヒトに出会い緊張したわんこは、あくびをすることで自分自身の不安や緊張を紛らわすと同時に、相手に対して「緊張してます!」という気持ちを伝えているのです。
このように、犬の不思議な行動によって知られているカーミングシグナルですが、実は猫ちゃんにも、このようなカーミングシグナルがあるのです。カーミングシグナルを理解することは、しゃべらないにゃんこの気持ちを知ることができるとっておきの方法です。
ここでは、猫ちゃんのカーミングシグナルについてわかりやすく解説します。
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猫のカーミングシグナルのポイント
猫は犬に比べると感情表現が乏しく、「なにを考えているのかな?」と悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか?おしゃべりな猫ちゃんもいますが、猫語を理解するのは至難の業!
そんな時、カーミングシグナルを覚えておくと猫ちゃんの気持ちを理解する上でとっても役に立ちます。ポイントは、「しっぽ」「顔(ひげ・目)の動き」です。他にもありますが、この二つのポイントは猫ちゃんのカーミングシグナルの大いなる発信源です。
しっぽからわかること
猫のしっぽは実に表情豊か!こんなにたくさんの情報を発信しています。
歩いているにゃんこのしっぽの様子を見てください。無表情に見えても、しっぽの先が天井を向くくらいピンと立てているときは「超ごきげん!」。
気持ちを言葉に表すなら「ワクワク」「ルンルン」といった感じでしょうか?しっぽを立てた状態で飼い主さんに近づいてくるときは、思いっきり甘えさせてあげましょう。にゃんことコミュニケーションを深める絶好の機会です。
反対に、しっぽをお腹側にしまっているときは「怖い」と感じています。下手に触ると恐怖のあまり攻撃されてしまうこともあるので要注意です。怖がっている原因がわかる場合は取り除いてあげましょう。原因がわからない場合はそっと見守ってあげるのがよいでしょう。
しっぽをせわしなく左右に振っていたり、バンバン床に打ち付けるように振るときは、「機嫌が悪い・イライラする!」という気持ちを表しています。この状態のにゃんこにちょっかいを出すと叱られます。機嫌がよくなるまでは構わない方が無難です。
毛を逆立ててしっぽがいつもの倍ほど太くなっているときは、ものすごく怒っている、またはとても驚いたときです。この状態のときは決して手を出してはいけません。
始めてみる飼い主さんだと猫の異変に驚いてしまうかもしれませんが、下手に触るとケガをすることも。落ち着くまではそっとしておきましょう。
ひげからわかること
気付きづらいですが、猫のおひげは様々な角度に動きます。通常の毛より深いところから生えていて、根元には外界の情報をキャッチするセンサーがたくさんあり、猫にとってとても大切なものです。
ひげのセンサーで風を読み獲物の位置を捉えたり、障害物を察知したりするのですが、実は感情にも連動しているのです。
ひげが斜め上方向に向いているときはとっても機嫌がよい証拠。一緒に遊ぶには最適です。反対に下向きに下がっているときは、まったりくつろいでいるか、もしくは元気が無い時です。
どちらなのかは飼い主さんの見極めが必要です。よく観察して、体調が悪いようでしたら適切な対応が必要です。また、ひげが顔から離れて前方向に向いているときは緊張や興奮を現わします。ふいに触ると驚かせてしまいますので要注意です。
目からわかること
猫の目の一番の特徴といえば、瞳孔の大きさが、線のように細くなったり、瞳いっぱいまんまるに広がったりと、大きく変わるところですよね。瞳孔は外の明るさによって変わるのは良く知られていますが、実はそれだけではありません。
瞳孔を細くする瞳孔括約筋と、大きくする瞳孔散大筋は、それぞれ副交感神経と交感神経に支配されています。副交感神経はリラックスしたとき、交感神経は緊張したときに優位に働くことから、瞳孔の大きさでにゃんこの気分も判断できるのです。
一般的に、瞳孔が細いときはリラックス、大きいときは緊張・驚き・興奮・恐怖、普通の大きさのときは平常心を表していると言われています。まんまるに開いた瞳孔のにゃんこはとってもかわいいのですが、興奮していたり、怖がっていることが多いので、下手に刺激を与えないようにしましょう。
まとめ
猫のしっぽやひげの動きには、猫の気持ちを表すサインがたくさん隠れていることがお分かりいただけたと思います。気を付けて見ていると、ちょっとした仕草や動きから、たくさんの気持ちを伝えてくれることに気が付きます。
カーミングシグナルに気が付くようになると、今まで「なぞ」だったにゃんこの気持ちが理解できるようになるかもしれません。これまでよりもっともっと仲良くなれますね!