分離不安症の原因と予防方法@飼い主に依存する猫が増えてる?
「犬は人に付き、猫は家に付く」と言う言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。猫はマイペースな動物です。そのため飼い主が構わなくても、一匹でも平気と思っている人も少なくはありません。
しかし中には飼い主に依存する猫ちゃんも多く、飼い主が外出するとずっと鳴き続ける、トイレ以外の場所で粗相をする、部屋を荒らすという問題行動を起こす猫もいるのです。これらの行動は『分離不安症』と呼ばれています。
そこで今回は猫の『分離不安症』の原因と予防方法をご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
『分離不安症』の症状と原因
『分離不安症』とは飼い主が居なくなると、不安や寂しさから通常とは違う行動をとってしまうことです。症状として以下のような行動が見られます。
■分離不安症の主な症状
- 破壊衝動、物を壊す
- トイレでない場所で粗相する
- 留守中ずっと鳴いている
- 玄関前をうろうろして離れようとしない
- 飼い主が外に出る準備をしだすと落ち着かなくなる
- 食欲が落ちる
- 体重が減る
- 下痢やおう吐がみられる
- グルーミングを必要以上にする
『分離不安症』は犬に多く見られる病気です。犬は群れで暮らす動物だからこそ、リーダーである飼い主がいなくなってしまうことで極度のストレスを感じて『分離不安症』になると言われています。
一方、猫は群れではなく単独で行動する動物です。そのため飼い主が居ようと居まいがマイペースで、『分離不安症』にはなりにくいとされていました。しかし最近の猫ブームで猫を飼う人が増えたこと、1匹飼いの猫が多く、完全室内飼いが増えたことなどから、『分離不安症』を発症する猫が増えてきているのです。
こんな猫ちゃんは要注意!
愛猫が『分離不安症』になるかどうかは、性格や生活している環境などで大きく関係があります。今は症状が全くない猫でも、将来突然発症することも珍しくありません。そこで、『分離不安症』になりやすい猫の特徴を確認してみましょう。
■分離不安症になりやすい猫の特徴
- 母猫から生後3か月以内に離された猫
- 兄弟猫と遊ぶ時間が少なかった猫
- 1匹飼い
- 子猫のころからずっと人が傍にいた
- 子猫~2才未満
- 家の中で飼い主の後をついてくる
- 家の中で一人になりたがらず、飼い主と同じ場所にいたがる
- 飼い主と一緒のベッドで寝る
- ほかの猫や犬を怖がる
- すぐ膝に乗ってくる
- 普段からよく鳴く
- 30分~1時間以上、家を空けることがあまりない
今は大丈夫であっても、飼い主のライフスタイルの変化によって症状が出る猫ちゃんもいます。「家を留守にする時間が増えた」「結婚で家族が家を出た」など、大きな環境の変化があったときは特に注意してください。
『分離不安症』の対処方法
1.過剰に接しない
『分離不安症』は猫だけでなく、飼い主がかまい過ぎることも原因の一つです。子猫のときから育てていると、猫も飼い主を母親と認識します。かまい過ぎることで猫も独り立ちが出来ず、飼い主がいなくなると不安になり問題行動を起こすのです。
そこで、猫と適度に距離を保って接するようにします。とは言え全く構わないと猫もストレスを溜めてしまうので、1日10分はスキンシップやコミュニケーションを取ってあげてください。
2.外出時の工夫
飼い主が外出するときも工夫しましょう。猫は大好きな飼い主の行動をチェックしています。外出するのが分かると、不安から暴れ出したり鳴き続けたり、中には飼い主の外出を邪魔する猫ちゃんもいるのです。
できるだけ、外出することが分からないようにしてください。家を出るときに猫に声をかけずに出かけます。帰ってきたときもすぐに猫をかまうのではなく、甘えてくる猫を無視し、猫が落ち着いてから相手にしてあげましょう。
3.猫が落ち着く場所を用意する
『分離不安症』の猫は、飼い主と離れることで自分の場所がなくなってしまったと思い、パニックを起こしてしまいます。そこで、飼い主が居なくても安心して過ごせる場所を用意してあげてください。
ゲージや猫専用の部屋など、飼い主が居なくても安心出来るテリトリーがあれば一匹でも静かに過ごせます。できるだけテリトリーを狭くしてあげる方が、猫は落ち着いて留守番をすることができます。
4.おもちゃやキャットタワーを用意する
猫が1匹でも遊べるおもちゃやキャットタワーを用意するのも方法です。大好きなおもちゃで遊んで、気が紛れるようにします。おもちゃで遊んだあとは疲れて寝てしまうことも多いので、愛猫のお気に入りのおもちゃを把握して用意してあげてみてください。
5.いたずらや粗相をしても怒らない
『分離不安症』の猫は、飼い主が外出している間にいたずらをしたり、トイレ以外の場所で粗相をしたりすることがあります。疲れて帰って来てからの掃除を考えると、猫を怒りたくもなるかもしれません。しかしここはぐっと我慢をしてください。
時間差で怒っても猫には全く理解ができません。飼い主が帰宅と同時に怒った様子を見ることで、さらに不安やストレスが増してしまいます。猫が粗相やいたずらをしたら、無言で片づけるようにしましょう。
まとめ
『分離不安症』は心の病です。猫はマイペースで単独行動をするため、ストレスになりにくいと考えられてきました。しかし昔と違って猫を飼育する環境も変わり、猫と飼い主との関わりも密になってきたことで、人に依存する猫ちゃんも増えてきたのです。
今まで何ともなかった猫でも、飼い主のライフスタイルが変わったことで『分離不安症』を発症することもあります。日頃の愛猫との関わり方も一度見直してみてくださいね。もし症状がひどい場合は、病院で相談してみてください。