猫の視力は人の10分の1@目が悪いのに生活に支障が無い理由
ブルー、グリーン、イエロー…。猫の目を見ていると色々なカラーがありますよね。神秘的な輝きがある猫の目。時にまん丸のかわいい表情をするかと思えば、獲物を狙う鋭い目つきと見ていて飽きないものです。我が家の猫たちも小さい虫を目ざとく見つけては、飛びついて遊んでいます。
そんな小さな物まで見えているのだから、「猫は視力が良いのだ」と思う人も多いのではないでしょうか。しかし、実は全くの正反対。猫は人間よりも視力が弱く、周りもぼんやりとしか見えていないのです。それなのに壁にぶつかったり、高い場所から落ちたりすることはないのが不思議に思いませんか。
そこで今回は猫の視力が悪くても生活に支障がない理由について紹介します。猫の目の秘密について勉強してみてください。
【関連】猫の目の色は何種類あるの?目の特徴や役割を知ろう
猫の視力は人間の10分の1
獲物を素早く捕らえる猫ですが、実は視力はあまり良くありません。猫の視力は人間の視力の10分の1程度と言われていて、0.1から0.3くらいしかないのです。
さらにきちんと識別できるのは15センチから20m先ぐらいまでで、解像力も低いため静止している物はぼんやりとしか見えないと言われています。その反面、視野は人よりも広く250度です。人の視野が180度なので、周りを見る能力は優れていると言えます。
■猫が見える視力と範囲
- 猫の視力:0.1から0.3ぐらい
- 猫の視野:250度程度
- 近い物を見られる距離:15cmぐらい
- 遠くまで見られる距離:20mぐらい
- 一番視力が生かせる距離:2~7.5m先
猫が見ている世界
人と猫の目で違うのは視力だけではありません。実は、猫が見ている世界も私たちとは異なります。では、猫はどのように周りが見えているのでしょうか。
■猫が見えている色
- 黄色
- 青色
- 緑色
- 白色
- 黒色
私たち人の目の網膜には、明るいところで色や形を識別する錐状体(すいじょうたい)細胞があります。しかし猫の場合、この錐状体細胞が人の6分の1から10分の1しかないと言われているのです。
そのため、人間のように様々な色を識別することができず、青や黄色は認識できても、赤ははっきりと識別でません。赤い色は猫には灰色に見えているようです。
視力が悪くても生活に支障がない3つの理由
猫の視力は0.1から0.3しか見えていません。人間だと眼鏡をかけなければ物が見えない視力です。しかし、猫は眼鏡なんてかけなくても生活できていますよね。実は、視力が悪くてもそれをカバーする3つの能力があるのです。
1.動体視力が優れている
猫は視力が弱く、止まっている物はぼんやりとしか見えていません。しかし動体視力はピカ一で、人間の4倍以上。さらに、止まっている物であれば10m程度しか見えていないものの、動いているものは30m先までも見えているとも言われているのです。
猫のおもちゃでも動かないと反応がありませんが、少しでも動かしてみると目の色が変わったように追いかけますよね。猫はほんの少しの動きでも敏感に感知することができるのです。
2.距離や高さを測るのが得意
猫は視野が広く、距離や高さを測るのも得意です。自分がジャンプできる高さか、距離はどのくらいを目で確認しています。一番視力が生かせる距離が2~7.5m先なので、近くよりも少し先の物の方が見えているからかもしれません。
さらに、目だけでなくヒゲや体の柔らかさ、人よりも優れた聴力や臭覚も持ちあわせて、猫の生活に支障がないようになっているのです。
3.猫の視界は暗いとさらに良くなる
猫は明るいところよりも暗い場所の方がよく見えています。暗闇での見え方は、人間よりも6倍優れているのです。猫の目には網膜の裏に反射板(タペタム)があり、そこで少ない光を増幅させるので、弱い明かりでも猫は視界を保てるようになっています。
そのため、まったく光が入らない真っ暗な場所では、猫も物や周りと認識することができません。
4.猫の視野は人間以上
猫の視野は人間以上です。人で180程度なので、前と横は顔を動かさなくても物を認識することができますよね。しかし、猫の視野は約250度。さすがに真後ろまでは見えませんが、少し後ろの物は見ることができます。
これによって肉食動物である猫は、見つけた獲物までの距離を正確に測ることができるようになり、狩猟の成功率が高まったのです。さらに視野が広がることで、外敵から素早く逃げることができるというメリットも挙げられます。
まとめ
猫の視力は人の10分の1しかありません。しかし、視力が弱くても動体視力や目のレンズ部分である水晶体や角膜が発達しているため、暗い場所でもわずかな光で周りが見えるようになっているのです。
視力が弱いと不便なのではと思うかもしれませんが、猫が生活していくために必要な部分が発達しているため、生活に支障はないのです。猫の目は狩りがしやすいように発達してきたと言われています。
まだまだ猫の目については分からないことも多く、特に色彩については「多分こう見えているだろう」という憶測でしかないのです。これから先、もしかすると新しい発見もあるかもしれませんね。