猫の毛色の決まり方@カラーを決める10種類の遺伝子
猫の模様を見ていると、本当に千差万別です。中にはとても変わった色や模様の猫もいますよね。我が家にいる子猫の母親は三毛猫ですが、そこから生まれた子供は「茶トラ」「クロ」「白黒ハチワレ」「白と灰色のハチワレ」と色や模様も様々。
さらに、実家にいる猫は母猫がサバトラで、子どもが「クロ」と「茶トラ」です。親子でも全く異なる毛の色や模様。いったい猫の毛色はどうやって決まっているのでしょうか。そこで今回は、毛色の不思議について調べてみました。
【参考】毛の色でわかる猫の性格@あなたの飼い猫は白?黒?キジトラ?
基本のカラーを決める遺伝子
猫の被毛パターン(色や模様)は、父親と母親それぞれの遺伝子を1つずつ引き継いで決まります。猫の遺伝子は全部で10種類。
そのうちの一つは、毛の長さを決める遺伝子と言われています。といえ、その組み合わせは膨大です。まずは基本のカラーとなる遺伝子を見てみましょう。
W遺伝子(ホワイト)
W遺伝子は、毛を真っ白にする遺伝子です。他のどの遺伝子よりも優勢に働くため、最強の遺伝子とも呼ばれています。
このW遺伝子が1つでも持ち合わせている場合は、組み合わせが他の遺伝子であっても真っ白な猫になるのです。
つまり、「WW」「Ww」の遺伝子を持つと真っ白の子どもが生まれます。ただし、劣性遺伝子の「ww」は真っ白ではなく別の毛色になります。真っ白なオスとメスであっても、遺伝子が両方「Ww」の場合、生まれてくる子猫が「ww」の遺伝子を引き継げば白以外の毛色になるのです。
O遺伝子(茶色)
O遺伝子は、毛色をオレンジにする遺伝子です。この遺伝子は少し特殊で、性染色体のX染色体上にしか存在しません。つまり、オス猫性染色体はXYなので「OY」もしくは「oY」の2種類。
さらに毛が茶色になるのは「OY」の時だけです。メス猫の場合は、性染色体がXXなので、「OO」「Oo」「oo」の3パターン。メスも茶色になるのは「OO」のパターンのときだけで、あとは茶色+そのほかの色が混じります。
B遺伝子(黒色)
B遺伝子は、毛色を黒色にする遺伝子です。B遺伝子には、3つあり1番優性なB遺伝子、2番目に優性なbそして劣性のb1遺伝子です。
B遺伝子が入れば黒、「bb」もしくは「bb1」だとチョコレート色、「b1b1」だとシナモン色になります。
模様を決める遺伝子
基本カラーを決める遺伝子だけでなく、模様を決める遺伝子にも関係があります。
c遺伝子
色をつける場所とその濃さに関係する遺伝子です。この遺伝子は、体温の低い所(手足や耳、鼻先、しっぽなど)の色を濃くします。
A遺伝子
A遺伝子は、毛一本一本を黒と褐色の縞模様する遺伝子です。キジ猫はこのA遺伝子を持ち合わせています。
I遺伝子
I遺伝子は、毛の根元を白くする別名、シルバー遺伝子とも言われています。この遺伝子によって褐色の色が抑えられ、シルバーのような色になるのです。良く知られるアメリカンショートヘアは、このI遺伝子を持ち合わせています。
T遺伝子
T遺伝子は、縞模様をきめる遺伝子です。優性のT遺伝子を引き継げば縦縞模様に、劣性のt遺伝子「tt」の遺伝子を引きつけば渦巻模様になります。
D遺伝子
D遺伝子は色を薄くする遺伝子です。この遺伝子は、劣性のd遺伝子を引き継いだ時にだけ現れます。つまり、「DD」「Dd」では色の変化はありませんが、「dd」の遺伝を引き継ぐと毛の色が薄くなるのです。黒猫であれば灰色に、茶色はクリームになります。
S遺伝子
S遺伝子は、体の一部を白くする遺伝子です。優性のS遺伝子を1つでも持っていれば、体の一部が白くなりますが、劣性遺伝子の「ss」の場合は白くはなりません。三毛猫や体の一部が白い黒白猫などは、この体を白くするS遺伝子を持ち合わせているのです。
なぜ親子で模様が違うの?
猫は、同じ兄弟であっても模様や毛色が全く違うことも珍しくありません。我が家の子猫たちも、4兄弟全て毛の色や模様がことなります。さらに母親は三毛猫ですが、三毛猫は1匹もいませんでした。
では、なぜ兄弟によっても毛の色や模様が異なるのでしょうか。
猫は、複数の卵子が排卵されて複数の精子と受精するため、多くの子猫が生まれることに成ります。また、猫に生理はなく交尾をしたときにだけ排卵する(交尾排卵)する動物です。
発情期には複数のオス猫と交尾し、違うオス猫の子供を妊娠することができます。そのため、兄弟であってもオス猫の遺伝子を引き継ぐと違う毛の色や柄の子猫が生まれるのです。
我が家の4兄弟を見てみると、全て色も柄も異なるため、父親はみんなちがうではないかと思われます。
まとめ
猫の柄は遺伝子の組み合わせで決まります。中には、「どうしてこんな色と模様なのだろうか」と思うこともあるはずです。我が家の白と黒のハチワレは、目の周りも黒く歌舞伎役者のよう。
そのため、いつも顔が怒っているように見えます。反対に白と灰色の猫は毛も長く、足も白と灰色の模様が入っているため、ハイソックスを履いたように見えます。
みなさんの愛猫もよく観察すると、うっすら模様が入っていた、毛の色が一部分違うなど発見があるかもしれませんよ。