猫の病気の兆候に気付いてあげるには?体重や食欲に気をつけよう
猫ちゃんを飼い始める方が増えています。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、飼い猫の数は、長い間ペットの主役を務めていた犬と、ほぼ同数まで伸びたという結果が出ているくらいです。
その理由の一つに、猫は犬と違って散歩の必要がなく飼いやすい、という意見があるようです。
1日の約70%は寝ているといわれる猫ちゃん。確かに手がかからないかもしれませんが、だからこそ、飼い主さんが気を付けなければいけない点があることをご存知ですか?
今回は、飼い主さんが見落としがちな、猫ちゃんの「SOS」に、いち早く気付くためのポイントをご紹介します。
猫ちゃんの「いつもの状態」をご存知ですか?
「寝る子=猫」と言われるくらい、寝ている姿が当たり前の猫ちゃん。具合が悪くて寝込んでいても、飼い主さんがうっかり見過ごしてしまうことも。
猫ちゃんに限らず動物は、弱っていることを隠す習性がありますからなおさらです。
大切なことは、いつもと変わらず寝ているように見える猫ちゃんが、実はいつもと違うことに気付けるように「いつもの状態」をきちんと把握しておくことです。
もっとも基本的な、把握しておきたい5つのポイントを、しっかり押さえておきましょう。
病気に早く気付くべきために注意する5つのポイント
1.体重
体重は健康のバロメーターです。体重の減少は腎臓系の疾患や猫エイズなどを、逆に体重の増加による肥満は、人の成人病と同じ症状を示すなど、体重の増減の陰には重篤な病気や、病気の引き金が隠れていることも多いのです。
猫ちゃんの適正体重は、年齢・描種によって変わります。定期健診や予防接種の際、あなたの猫ちゃんの理想体重を、掛かり付けの獣医さんに確認する習慣をつけましょう。
猫ちゃんが痩せ気味なのか、太り気味なのかがわかると、今後の食事の与え方を調整したり、猫ちゃんの運動環境を整えることができます。
体重を定期的にチェックすると、猫ちゃんの微妙な体調の変化に早く気付いてあげられます。わずか1kgの体重変化でも油断はできません。5kgの猫ちゃんの1kgは、人間なら60kgの人の12kgの変化と同じなのです。
人と同じように、体重管理は健康管理の基本です。飼い主さんがしっかり気を配ってあげましょう。
2.食べる量と食欲
味の好みや季節の移り変わりなど、きまぐれな猫ちゃんの食欲は様々な理由で変化します。
でも、慢性的な食欲不振は、消化器系の病気や猫風邪などの場合もありますので見逃せません。獣医さんに行く目安は、食べない状態が丸1日続くときです。
また、異常な食欲は、糖尿病や甲状腺機能亢進症の可能性が考えられます。
食欲の状態を知るには、猫ちゃんが1日に食べる量を把握することから始めます。まずは猫ちゃんの年齢や体のサイズに合った、適切な1日の食事量を決めましょう。
餌入れのフードが少なくなるたびに追加する餌の与え方は、食べた量がきちんと把握でません。回数を分けて与えるのはOKですが、決めた1日の量以上はあげないことが大切です。
慣れるまでは猫ちゃんの猛烈な抗議があるかもしれませんが、催促されても与えない習慣をつけてください。
今まできっちり完食していた猫ちゃんが残したり、完食したのにしつこく催促するなど、食欲の変化の状態を観察して、異常な状態が続くようでしたら獣医さんに相談してみましょう。
3.水を飲む量
猫はあまり水を飲まないと言われていますが、もちろん水なしで生きていくことはできません。1日に必要な水の量は、フードの水分も含み一般的に60~70ml/1kgと言われています。
飲んだ水の量は、水飲み用の器から減った水の量で確認しましょう。適切な量の水を飲むことは、猫ちゃんの疾患に多く見られる、腎臓や下部尿路疾患の予防になります。
あまりにも少なかったり、逆に100ml/kg以上飲みたがる場合は病気のサインかもしれません。
お風呂場の水なら飲む、とか、流れている水が好き、など何かと注文が多い猫ちゃんです。猫ちゃんが好む水飲み場を工夫してあげるのも、飼い主さんの大切な役目ですね。
4.尿・便の状態・回数
一般的な尿の回数は1~4回、便の回数は1~3回と言われています。中には2日に1度しか便をしない子もいるようで、回数は猫ちゃんによってかなりばらつきがあります。
ただし、尿が丸1日出ていない場合は緊急事態です。すぐに獣医さんへ受診しましょう。
正常な尿の色はやや濃い黄色です。病気の場合は、濃い色・濁りがある・赤いなど、通常と違う色になります。
1日の量を量るのは少し難しいですが、目安は4kgの子で40~120cc、5kgの子で50~150ccです。
何度もトイレに行くけど出ていない、おしっこをする時に痛がるなど、排泄の様子でわかる異常もありますので、猫ちゃんが嫌がらない程度に、時にはトイレの最中も覗いてみましましょう。
正常な便は、人の人差し指サイズで茶色、適度なツヤがあります。
トイレ掃除の際には、回虫や条虫の有無、血が混ざっていないか?便の固さ、色が黒い・白いなど、便の状態をチェックしましょう。もしも上記のような便をみつけたら、便も持参のうえ、獣医さんに相談してください。
5.スキンシップ
抱っこやブラッシングなど、スキンシップの時間は、猫ちゃんの状態を知ることができる絶好のチャンスです。
例えば、触ろうとすると隠れたり、抱っこやブラッシングを嫌がるのは、体のどこかが痛い証拠。触った感触で、しこりや、怪我、異常な熱さで発熱に気付くこともあります。
毛がパサパサでツヤがない状態だったら、回虫や甲状腺機能亢進症が考えられますし、異常な抜け毛は皮膚病の可能性も。
顔を近づけたときに、口や耳の臭いが気になったら、歯周病や耳ダニなどが疑われます。大好きなおもちゃなのに、急に興味を示さなくなった時は、ストレスを感じている場合があるので注意しましょう。
このように、毎日スキンシップすることで気付ける病気のサインはとてもたくさんあるのです。
いつもと違う!気付いたら獣医さんへ!
猫ちゃんの、日常の状態を知っているからこそ気付いてあげられるポイントをご紹介しました。些細な変化が、時には重篤な病気のサインであることがお分かりいただけたでしょうか?
しゃべらない猫ちゃんの苦しみに気付いてあげられるのは飼い主さんだけです。少しでも早く猫ちゃんの異変に気付き、病気の芽を摘んであげてくださいね。