猫の転落事故を未然に防ぐために飼い主が注意するべきこと
我が家はマンションの5階にあります。洗濯物を干すときなど、筆者がベランダに出ると、我が家のにゃんこも恐る恐るやってきます。
完全室内飼いで、滅多に外の様子を目にする機会のない彼にとって、ベランダは何度来ても大変物珍しいようで、フェンスの間から興味深そうに階下の景色を眺めたり、道行く人を目で追ったりと、楽しそうに過ごしています。
1日中家の中にいる室内飼いの猫ちゃんにとって、ベランダは唯一、外の空気に直接触れながら好奇心を刺激することのできる絶好の場所です。
天気の良い日には、出来る限りベランダ散歩を楽しませてストレスを解消してあげたいと思うのですが、やはり気になるのはベランダからの転落事故。
我が家の場合、にゃんこがベランダに出られるのは筆者同伴時に限ります。幸い「超」が付くほど臆病な彼は、これまでフェンスの手すりに飛び乗ろうと考えたことはないようですが、この高さで、あの幅の無い手すりに乗っている彼の姿を想像すると血の気が引く想いです。実際、ベランダからの猫の転落事故は後を絶たないと聞きます。
そこで本記事では、高所から猫の転落を防ぐ方法と、万が一転落した場合の、飼い主さんの対応についてご紹介します。
転落事故はなぜ起こるのか?
基本的に猫は高いところが大好きです。キャットタワーなどを登ったり降りたりする行動は、室内飼いで運動不足になりがちなにゃんこにとって、最適な運動ツールと言えます。
しかし、わずか2メートルほどの高さしかないキャットタワーでも、転落事故は発生しています。高さに関係なく、周囲の環境、落ちる時の状況、猫の状態などによっては大怪我になることもあるんですね。以下では特に注意しなくてはいけない項目について、まとめて紹介します。
怪我をしやすい環境
次のような状況で、飛び降りたのではなく、「落ちた」場合、上手に受け身の姿勢をとる準備ができていないため、低い場所からの転落でも大怪我につながる場合があります。
- ツルツルした材質の場所から、足が滑って落下した
- 飛んでいる虫などに気を取られた
- うたた寝をしていて寝返りをして落下した
落下地点の状況
落下地点の状況でも、猫への衝撃が大きくかわってきますので注意しなくてはいけません。
- コンクリートなどの固い場所に落下
- 障害物があり、きちんと受け身の姿勢が取れない場所に落下
猫の状態によって増す危険度
また、周囲の環境や落下地点の状況だけでなく、猫ちゃんの年齢・健康状態によっても危険度は変わってきます。特に次のような猫ちゃんは要注意です。
- 子猫
- 老描
- 肥満の猫
- 運動不足の猫
高さによって危険度が違う?
たまに、「マンションの11階から落ちて助かった猫」などが話題に上がることがあります。また、「低層階より、ある程度高さがある階から落ちた方が、怪我が少ない」という話をネット上で目にすることも。
その根拠となっているのは、『猫は転落している間に体勢を整え、着地のショックを和らげる受け身の姿勢をとることができる』というウワサです。
低い階より、高いところの方が落ちるまでに時間がかかり、体勢を立て直しやすいので、ある程度の高さの方がケガが少なくて済む、という理屈のようです。
確かに一理ありそうですが、だからと言って、決して高いところなら安心ということではありません。そもそも、高いところから落ちて無事だったから話題になったわけで、大怪我をしたり、死んでしまう子もたくさんいるのです。
たまたま軽症で助かった子はラッキーですが、先にも紹介したように、キャットタワーからの落下でもケガをしてしまう子もいます。飼い主として大切なのは、やはり落ちてケガをしてしまうような状況を作らないことが大切です。
転落事故を防止するには?
ベランダの事故の防止するために
転落事故につながりやすい一番危険な場所は、やはりベランダではないでしょうか?ベランダからの転落事故を防ぐ方法を集めてみました。
・猫を単独でベランダに出さない。出す場合は目を離さないようにしましょう。
・猫が単独でベランダに出ないようにする。窓や網戸を開けてしまう子もいます。窓にはカギを、網戸は、棒で止めたり、両面テープで貼るだけの簡易的なカギを取り付けるなど、猫が開けられない工夫をしてください。
・ハーネスを付ける。少しの時間であればハーネスをつけて散歩させるのも有効です。ただし、ひもが絡まったり、ハーネスから抜け出てしまう場合もありますので、やはり目は離さない方がよいですね。
・ベランダ全体をネットで覆う。ハト避けのネットでベランダ全体を覆ってしまえば安心です。転落と同時に、手すりを伝って隣家へ行ってしまうことも防げます。ただし、隙間なくきっちり設置するには素人では難しいです。設置はプロに頼むことをおすすめします。
その他、注意したいこと
キャットタワーやカーテンレールなど、高いところが好きな子には、着地地点に柔らかくクッション性のあるラグやマットを敷いて、着地の衝撃を緩和する工夫をしましょう。
また、フライングキャット症候群という、理由が解明されていない猫の飛び降り事故があるそうです。習慣性があり、1度転落事故をおこしても懲りることなく繰り返すケースがあるようですので、特に死亡事故につながりやすい高い建物にお住まいの方は注意しておく必要があります。
猫が転落したときの対応方法
転落に気付いたら、まず慌てず猫を確保します。思いがけず転落した、または転落時の衝撃が強かった場合など、猫自身も相当のショックを受けていますので、飼い主さんが慌てていると、さらに驚いて逃げてしまうことがあります。実は、転落後、迷子になってしますケースはとても多いのだそうです。
確保できたら、キャリーバックにいれるなど安静にして、獣医さんに状況を説明しましょう。一見外傷がないように見えても、骨折や内臓破裂など重篤な状態になっている可能性も十分にあります。
万が一、意識が無いような場合は一刻も早く動物病院へ連れて行きましょう。
まとめ
猫ちゃんによるベランダからの転落事故が、意外にも多いということを今回の記事を執筆する上で、リサーチをして知り驚きました。
同時に、改めて用心しなくてはいけないと再認識させられました。猫はとても用心深いので無謀なことはしないのですが、反面、とてもビビりで、パニックになるとどのような行動をとるか想像ができません。
どのような状況になっても、転落やケガを未然に防ぐ環境を整えてあげることも、飼い主さんの大切な役目ですね。