室内飼いの猫にもお散歩は必要?それとも不要?
我が家の猫は、生後約1ヶ月の頃に親猫を探して鳴いているところを保護して以来、ずっと室内飼いです。年に1度、動物病院へ予防注射をするため外出しますが、その時のビビる様子と言ったらありません。
一時も落ち着かず車の中でも鳴き通しで、家に戻ってキャリーバックの蓋を開けても不審顔であたりを伺い、いつもの場所だと認識できて初めて安心するようです。とても散歩など行けそうにないです。
しかし、向いの屋根に遊ぶ鳥や、近くで猫の鳴き声が聞こえるときなどは、やはり外の様子が気になるようで、窓からじっと眺めています。
天気の良い日はベランダに出ることもあるのですが、階下を行き交う人を目で追う後ろ姿に、「外に出たいと思っているのかな?」と思うこともままあります。いったい猫はどのような気持ちでいるのでしょう?
猫は散歩をしたいのか?
人間の感覚で見ていると、猫もたまには自由になりたいのではないか?と思ってしまうので、せめて「散歩」につれていこうかという発想が生まれます。でも、そもそも猫は環境に馴染みやすい生き物のようです。
家の中が猫ちゃんの好む環境であれば、意外とそれで満足すると言われています。
ただし、ある程度大人になってから保護され、室内飼いになった猫ちゃんの場合はそうとも言い切れません。子猫の頃から家の中で育った子と違い、外の刺激を知っている大人猫の場合は外に出してとアピールする子もいます。
出してあげたい気持ちになりますが、外には危険がいっぱいです。外に出る代わりに、それぞれの猫ちゃんが満足してくれる方法を探してみましょう。
室内飼いの猫ちゃんの好む場所
子猫の頃から室内で飼育されている猫は、家の中を自分のテリトリーとして生活することに不満を感じていないようです。しかし、狭いスペースで過ごす日々はどうしても退屈ですし、運動不足にもなりがちです。
猫ちゃんが「退屈」と感じるかどうかは別として、適度な刺激と体を動かせる環境は、飼い主さんが整えてあげる必要があるでしょう。猫ちゃんが好む環境を作ってあげれば、散歩をしなくても猫ちゃんがストレスを感じることは少なくなります。
1.上下運動ができる場所
犬と違い猫の行動は3D。高いところに登ったり降りたりする、または高いところから辺りを見渡すのが大好き。猫ちゃん特有の動きを満喫できる仕組みを作りましょう。
2.外の刺激を感じられる場所
単調な家の中でも、窓を開けるだけでたくさんの刺激を感じることができます。窓を開けておくと、鳥・猫・犬などの声が聞こえてきますし、風が様々な匂いを運んできます。
我が家の猫も、レースのカーテンに頭を突っ込んで、網戸越しに外を眺めるのがお気に入りのようです。ただし、窓には必ず網戸を付けて、さらに網戸が開かないように工夫をしておく必要があります。また、ベランダに出る時は必ず飼い主さんの目の届く範囲で、脱走や転落には十分注意しましょう。
3.安心できる隠れ家・寝床
猫はお気に入りの場所をいくつも持っています。見晴らしのよい高い場所、人の様子を観察できる場所も好きですが、身を隠せるような狭くて静かな場所も大好きです。
ぐっすり眠るときなどはそのようなところが安心できるのでしょう。好みは不意に変わることがありますので、常に数カ所、猫ちゃんの気に入りそうなスペースを用意してあげましょう。
外猫だった昔の猫
昔はどの家の猫も家と外を行ったり来たりするのが普通でした。猫を虐待する人もおらず、車の通らない野原や田んぼでたっぷり遊んで家に帰ってくる猫ちゃん達。こたつの中でぐっすり眠る猫ちゃんは本当に幸せそうでした。
しかし今はそういうわけにはいきません。家の外には猫ちゃんにとって危険がいっぱいです。交通事故を筆頭に、ノミ・ダニ・ウイルスなどの感染、猫同士のケンカ、人間による虐待など危険は多岐に渡ります。
家猫と外猫では平均寿命が5歳以上違うことからも分かるように、猫ちゃんを自由に外出させることはおすすめできません。
でもどうしても外に出たがる猫ちゃんには、「散歩」という手段が合うのかもしれません。外に出たい猫ちゃんと、危険を避けたい人間の妥協案ですね。でも、散歩は猫ちゃんも初めての経験です。事前にしっかり準備をしておきましょう。
猫ちゃんの散歩の準備
1.予防接種は必ずしておく
猫ちゃんの予防注射(3種混合ワクチン・白血病ワクチン)や、ノミ・ダニの予防はしっかり行っておきましょう。
2.ハーネスに慣れてもらう
猫ちゃんには首につけるリードより、腕を通すハーネスが向いています。体が柔らかくてスベスベしている猫ちゃんは、ハーネスでもスルリと抜けてしまうことがありますので、締具合の確認をしておきましょう。
ハーネスを付けて抵抗なく歩けるようになるまで、猫ちゃんに慣れてもらうことが大切です。
3.散歩は猫ちゃんが行きたいときに行く
外に出て、外の良さを再認識した猫ちゃんは頻繁に散歩に行きたがるかもしれません。その頻度が高いと飼い主さんも大変です!でも、散歩に行きたいのに行けないと、せっかくのストレス解消が逆にストレスになってしまうことも。
どうしてもいけない時は、ベランダや庭で我慢してもらう習慣をつけるなど、猫のストレスにならない方法を考えてあげましょう。
まとめ
筆者の実家には年を取った老女の猫がいます。避妊手術はしていますが、家猫生活はなじまず外猫の道を選びました。
とても賢い子で、ほんの数年前までは屋外でヘビやスズメを狩って食べる、実に野性味あふれる猫でしたが、最近になって「家の中にいれてちょうだい!」と言ってきたそうです。
老齢になり、体力も衰えてきたのでしょう。家の中でトイレを使うこともちゃんと覚え、今では庭に日向ぼっこに出るくらいになったそうです。
猫ちゃんも年齢によって行動パターンが変わるものです。その時期その時期に、猫が一番満足できる環境を用意してあげることができると、飼い主冥利につきますね。