飼い主がペットより先に死んだらどうなるの?死ぬ前に準備すること
人間もペットも共に高齢化が進んでいますね。一人暮らしでペットを飼っているおじいちゃん、おばあちゃんも大勢いらっしゃることでしょう。可愛いペットがいれば孤独から救われますし、毎日が楽しくなります。ご老人に限らず、ペットを心の支えにしている人は多いはずです。
でも年齢に関わらず、一人暮らしは健康でなくなった時が問題です。もし一人暮らしの飼い主が倒れて帰れなくなってしまったら…ペットはどうなるのでしょうか?
飼い主がいなくなってしまったペットを待ち受ける悲しい現実
誰にも気づいてもらえなければ
飼い主が不慮の事故などで帰れなくなって、家にペットがいることに気づいてもらえなかったら、ペットは餓死してしまいます。いざという時のために、ペットのことを頼む人を決めておいてください。
そして、お財布に「猫を飼っています。いざという時は○○さんに連絡をお願いします」と、その方の連絡先(電話番号やメールアドレスなど)を書いたメモを入れておきましょう。
次の引き取り手がいなかったら
飼い主がいなくなって次の引き取り手が現れなければ、残された動物は都道府県の保健所や動物愛護相談センターに送られてしまいます。また、飼い主自ら動物を持ち込むという飼育放棄も多いのだそうです。
自治体によって方針にバラつきがあるようですが、収容された動物たちは次の3通りに分かれます。
- 返還(迷子などで飼い主の元に帰れた)
- 譲渡(新しい飼い主が見つかった)
- 殺処分(一定の保管期限のあと)
飼い主がいなくなったからといって殺処分はひど過ぎる…この悲しい現実を変えて行こうと運動している動物愛護団体も数多く存在します。
新しい家族へ
動物愛護団体は行政から動物を引き出して、譲渡会などを開催して次の飼い主を見つけてくれます。
また、動物愛護相談センターでも毎週譲渡会を開催しています。無責任な飼い方をしないよう、譲渡講習会も行っていて、経済的・時間的な負担が難しい人、20歳以下60歳以上の人には譲渡しないのだそうです。
私も東京都動物愛護相談センターで講習を受けてきました。個人から持ち込まれる動物たちの多くは高齢の飼い主が亡くなったり、世話ができなくなったりするケースが多いとか。確かに要介護のペットの世話は体力的にも精神的にも大変なので、ご老人には厳しいかもしれません。
収容されているのは年老いた動物が多い
東京都動物愛護相談センターで印象的だったのは、収容されていた犬が老犬ばかりだったことです。年老いて捨てられてしまうとはなんということでしょう。みんなさみしい目をしていました。
もちろん若い犬も来るのでしょうけれど、私が行った時はほぼ全部老犬で、長い犬はもう半年いるとのこと。
東京都動物愛護相談センターでは人と暮らせる犬(性格・健康状態ともに)ならチャンスはある…とかなり長く残しているそうです。収容スペースに限りがあるので、愛護団体と相談・連携しながら、一頭でも多く助けられるようがんばっているそうです。
愛護団体の人ともお話しましたが、東京都は行政と団体の仲がいいのでやりやすいとのことでした。
見送るというボランティア
愛護団体さんのシェルターにも老犬・老猫が多いのだそうです。そして最近は年老いた動物の里親になる引き取り手も増えてきたとか。
つまり余生のお世話をする覚悟で動物を引き取る…「最期は家族に囲まれて」という環境を提供する人が増えてきたのです!これってすごくないですか?
引き取ってくれる人の多くはすでに病院通いをしている犬猫を飼っていて、「一頭も二頭も同じだから」と手を差し伸べてくれるのだそうです。老犬・老猫は動物病院に行く機会も増えますし、お金も時間もかかります。
メンタルの強さも必要でしょう。年老いた動物たちの余生を引き受け、暖かく見送る。余裕があるなら、こんなボランティアの方法もあるのですね。
まとめ
私も老猫と暮らした経験があるのでよくわかるのですが、年老いた動物と暮らすのは本当に楽しいのです。一緒にいられる時間は残り短くても、きっとかけがえのない暖かい時間になることでしょう。
不幸な動物を増やさないためにも、ペットを飼う前によく考えることが必要です。住宅はペット可なのか、家族が反対していないか、移転や転勤はあるのか、自分の年齢も考えて動物の最期まで世話ができるのか。無理したり、内緒で飼ったりするのは破綻しかねません。
飼い主から捨てられたペットの心の傷は深刻です。そんな思いを経験してしまう動物を一頭でも多く減らしましょう。
そして自分が万が一の時のために、ペットのことを頼める人を見つけておくと安心です。ちゃんとその方の了承を取って、お財布に連絡先を書いたメモを入れておいてください。
終わりよければすべてよし。最期が幸せなものでありますように。私もいずれ老猫を暖かく見送れるような人になりたいです。