人獣共通感染症の種類と予防法@猫から人に移る病気がある!
動物を触った後、きちんと手を洗っていますか?
「うちの猫は飼い猫だから、病気なんて持っていない」と思っている人もいるかもしれませんが、過信は危険です。
気が付かないうちに猫から病気をもらうこともあるのです。このように、猫や動物から人間に感染する病気をひとまとめにして、『人獣共通感染症』『ズーノーシス』などと呼ばれています。今回は猫から人に感染する『人獣共通感染症』についてご紹介いたします。
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人獣共通感染症とは?
『人獣共通感染症』とは、人と動物の両方に感染する病気の総称です。猫だけでなく、犬や鳥、爬虫類などからも感染することもあります。WHO(世界保健機構)によると『人獣共通感染症』は世界中に約840種あるとされ、そのうち重要なものは122-166種類。
日本国内で問題になるのは、その半分くらいと言われているのです。最近では、60代の女性が猫のエサやりから「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」にかかり、国内初の死亡例が出たことで知られています。
猫から人に感染しやすい病気
まずは、猫から人に移りやすい病気を確認してみましょう。
猫ひっかき病
猫ひっかき病は猫にひっかかれたり、かまれたりして感染する病気です。猫ひっかき病の原因は「バルトネラ菌」。このバルトネラ菌は、猫につくノミや血液、猫の口の中の粘液などからも検出されます。
症状として「傷口や顎の下や脇の下のリンパが腫れる」「発熱」「吐き気」などです。予防方法としては、猫の爪を短くしておく、ノミ予防をおこなうこと。また、猫にひっかかれたり噛まれた場合、直ぐに傷口の洗浄と消毒をしましょう。
ノミ刺咬症
ノミ刺咬症は、猫などに寄生したノミに人が刺されることにより感染する病気です。ノミの唾液がアレルゲンとなり、強いかゆみなどを引き起こすのが特徴です。
皮膚が柔らかい部分に刺される事が多く、刺された箇所に直径1㎝位の紅斑が出来ます。ひどくなると水疱ができることもあるので要注意。猫のノミ予防はもちろんのこと、カーペットやソファーなどの布製品は念入りに掃除をするようにしてください。
パスツレラ症
パスツレラ症とは、「パスツレラ・ムルトシダ」によって引き起こされる感染症です。
実は猫の多くがこの菌を持っていると言われていますが、猫が感染しても症状は現れません。人に感染しても症状が現れないことがほとんどですが、免疫力が低下した時に症状が現れます。そのため、小さい子どもや高齢者は注意が必要です。
症状として、発疹や発熱、呼吸器の症状など。また、糖尿病や呼吸器疾患を持つ人が感染した場合は、重症化する恐れがあるので注意してください。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症とは、カビによっておこる感染病です。皮膚糸状菌を持った猫を抱っこしたり撫でたりなどして、猫と人の肌が直接触れる事で感染します。
感染すると患部が円形状に赤みと痒みが出るのが特徴です。「白癬」とも呼ばれ、水虫の一種としても知られています。皮膚糸状菌症は症状の悪化に免疫力が大きく関係していると言われています。そのため、日頃から免疫力を低下させないように心掛けることも忘れずに。
このほかにも、トキソプラズマ症、疥癬症、Q熱などがありますが、健康な大人であれば感染することは稀です。
基本的な予防方法
猫から移る感染症は、少し気を付けることで防ぐことができるのです。そこで、基本的な予防方法をご紹介いたします。
過度な接触をおこなわない
猫との過度な接触は控えるようにしましょう。かわいいからと愛猫とキスをするという人もいるかもしれませんが、猫の口には常在菌がいるだけでなく、おしりを毛づくろいすることで排泄物中の病原体が付いてしまっていることもあります。
また、おとなしい猫でも急に手が出ることも考えられます。引っかかれて病気をもらうこともあるため、飼い主であっても一定の距離を保つことが大切です。
爪切りをしておく
猫ひっかき病は猫からもらう病気で一番多い感染症です。そのため、猫の爪をきちんと切っておきましょう。爪を切っておけば、引っかかれても軽傷で済み感染症のリスクが下がります。
完全室内飼いにする
完全室内飼いをすることで、猫が感染するリスクを減らすことができます。猫が感染しなければ、人に感染することもありません。また、人間には移らなくても猫にとっては致命的な病気をもらってくると言うリスクもグンと減らすことができます。
動物を触ったら手を洗う
基本的なことですが、動物を触った後はきちんと手を洗うようにしましょう。毛にカビの菌糸や寄生虫の卵等がついていることがあります。唾液や傷口などに触ってしまうこともあるので、猫のお世話をした後は石鹸できれいに手を洗ってください。
まとめ
猫から人に移る病気と聞くと、「野良猫など病気をもった猫を触ったら移る」と思う人もいるかもしれませんが、飼い猫であっても同じです。私も以前飼っていた猫に何度も引っかかれて、赤く腫れたものです。
発熱など重症にはならなかったものの、傷口は化膿して傷口が完全に消えるまでにはかなりの時間がかかりました。
もちろん、完全室内飼いの猫です。大人であっても体力が落ちていると重症化することもあるため、日頃から猫との過度の接触などは控えて、お世話をした後はきちんと手を洗うようにしましょう。小さい子どもや高齢者などは、特に気を付けるようにしてくださいね。