猫エイズの症状と感染経路@他のネコと多頭飼いしても大丈夫?
人間にいろいろな病気があるように、にゃんこにも、にゃんこ特有の様々な病気があります。その中でも「猫エイズ」と呼ばれる病気は、名前に「エイズ」が入っているだけにとても気になるのではないでしょうか?
そんな名前を聞くだけで怖いイメージのある「猫エイズ」ですが、実は飼い主さんの正しい理解がとても大切なのです。特に、数匹のにゃんこを飼っている飼い主さんにとって、キャリアの猫と他の猫たちをどのように育てて行くかは大変悩ましい問題ではないでしょうか?
ここでは、猫エイズの正しい理解と、猫エイズキャリアのにゃんこがいる場合の対応をの仕方を調べてみました。
猫エイズの症状
まず、猫エイズについて詳しく見てみましょう。
猫エイズの正式名称は『猫後天性免疫不全症候群』。これは猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染することによって引き起こされる様々な症状のことをいいます。
一度FIVに感染すると完治することはありません。時期を経て発症した場合、口内炎、猫風邪、下痢や嘔吐など様々な症状を引き起こします。通常であればすぐに治るような病気ですが、FIVに感染している場合は、免疫力の低下によりこれらの病気がなかなか治らないまま食欲不振、脱水などで衰弱して行きます。さらには肺炎やガンなどに進行し、死に至ります。
猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染すると、段階を追って次のような症状が現れます。
急性期
感染して1ヶ月ほど経過した後、風邪に似たような症状や下痢などが1ヶ月から1年ほど続きます。
この症状は全ての猫に現れるわけではなく、また現れても比較的軽い症状のため気付かないケースも多いようです。
無症状キャリア期
急性期に現れていた症状が治まり、一見健康体を取り戻したような状態になります。しかしウイルスが消えたわけではなくリンパ球の中に隠れている状態です。
このようにウイルスを体内に保持しながら際立った症状がない状態が、4年から10年程続きます。
発症期
無症状キャリア期が終わると猫エイズの発症期に入ります。免疫不全ウイルスにより免疫力が落ち様々な感染症にかかります。顕著に見られる症状は口内炎などの口腔内の疾患です。
通常であれば口内炎はすぐに治る病気なのですが、免疫不全ウイルスを持つ場合治癒が難しく、口が痛くて食事ができなくなるため衰弱していくケースは多く見受けられます。
猫エイズのネコとの多頭飼いは可能か?
多頭飼いをする場合、先住猫が猫免疫不全ウイルスのキャリアであるケース、また新たに同居する猫がキャリアのケースが考えられます。
猫免疫不全ウイルスに感染している子は意外と多く、日本における感染率は23%とも言われています。特に多くの猫と接触する機会の多い外猫は感染する確率も高くなります。必然的に、外猫を保護した場合など、猫免疫不全ウイルスに感染しているケースも多くなると考えられます。
そのように、キャリアの子とキャリアでない子を同居させることは可能なのか?また、同居させる場合はどのようなことに気を付けたらよいのでしょうか?
猫エイズの感染経路を確認しながら詳しくチェックしていきましょう。
猫エイズの感染経路
猫免疫不全ウイルスの感染経路は、主にケンカや交尾など、ウイルスに感染している猫の唾液が傷口に接触するケースが多いとされています。このため、ケンカをすることの多い去勢されていないオス猫は感染のリスクも高くなります。
しかし、猫免疫不全ウイルスはもともと感染力が強いウイルスではないこともあり、通常のグルーミングや食器の共有、母子感染などは少ないと言われてます。
このように、感染力が弱いこと、また空気感染はしないことから、一定の条件を整えることができれば、キャリア猫とノンキャリア猫の同居も不可能ではありません。新しい猫の同居を考える際には次のことに注意をしましょう。
まずは猫エイズ検査をしよう
特に外猫ちゃんを家族に迎える際には、まず動物病院で検査を受けましょう。血液検査をすることで感染の有無を調べることができます。
猫エイズとわかったら
血液検査の結果感染が確認された場合は、ひとまず他の猫と別の場所に隔離します。去勢・避妊手術をしていない場合は、手術をするまでは居住スペースを分けておきましょう。
キャリア猫の性格、先住猫との相性など様子を見ながら、仲良くできそうであれば徐々に同じ場所で過ごす時間を増やしていきます。
注意したいポイント
先にもお伝えした通り、猫免疫不全ウイルスは比較的感染力の弱いウイルスです。キャリア猫の唾液が直接傷口などに接触しなければ感染する可能性は低いのです。しかし、次のような場合は注意が必要です。
同居猫の体にケガをしている箇所がある場合。仲良しでケンカをする心配はなくても、グルーミングで唾液が体に付く場合があります。ケガの箇所にキャリア猫の唾液が付くことにより感染する可能性がありますので、ケガが完治するまではケガをした猫とキャリア猫は隔離しましょう。
同居の猫が高齢の場合は注意が必要です。高齢になると免疫力が落ちることもあり感染の可能性も高くなると考えられます。老描、または体力の落ちている子とは離した居住空間を用意しましょう。
ストレスは病気の進行を早めると言われています。同居猫が若く元気で、キャリア猫が落ち着いて過ごせない場合は距離を置いてあげましょう。
まとめ
猫エイズに感染していても、一生発症しないまま天命を全うできる子もたくさんいます。キャリア猫も同居猫も、安心して過ごせる環境を用意してあげることに、飼い主さんは十分気を使ってあげたいですね。